福祉の現場では。
3月6日(土)、
山形・鶴岡で葬儀に列席した後、
町田に戻って、NPO読み聞かせ文庫の発足会をやった。
まあ、発足会というのは、ちょっと大げさ。
理事やスタッフは、お互い知らない顔ぶれだから、
顔合わせの食事会と云うのが、正直なところ。
NPOの理事は、私を含めて3人。
東海大学で広告・広報がご専門の小泉教授、
町田ゼルビアのFW・MFであり、チームのシンボル的存在の酒井選手。
それに手伝ってくれるスタッフが加わっての宴会だった。
専任スタッフはひとり。あとは、みんなボランティア。
読み聞かせ文庫に関心を寄せていただいて、
福祉関係の仕事をしている方も、特別ゲストとして参加してくださった。
NPOのこれからの動きについて、一通り報告を終えると、
特別ゲストの話に関心が集まった。
親の虐待の事例には、日常的に出会うという。
たとえば、と言って、伺った話は。
親の年金をあてにして暮らす無職の男性。
40代後半から50代。
もう、これだけで十分悲惨だ。
年金を酒を飲んで使い果たし、親は食事も与えられず、
時にウンチまみれのなかで日を送る。
福祉事務所の人が介入して、親は施設で引き取られる。
自棄になった息子は、年金手帳を取り返そうと、
施設に押しかけてきて、乱暴なふるまいに及ぶという。
人生や社会の「負の面」を見なければならない、つらい仕事ですね、
なぜ、そんな仕事につけるのですか、と参加者から質問が飛んだ。
「そうなんです、力が及ばず、何もできないことが多い。
無力感を感じることもあります。」
でも、ね、と言って、こんな話を聞かせてくれた。
あるお年寄りで、
その特別ゲストが運営する施設を利用したい、という方がいた。
でも、その施設では、おばあさんの住むエリアまで、送迎の車を出す余裕がない。
責任者もスタッフも、あれこれ算段に悩んだが、
いますぐには、いい結論が出ない。
仕方なく、いまは要望にこたえられない、との返事をするために出向いた。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも、おばあさんは、断りの返事を聴いた後で、
「そこまで、考えてくれてうれしい。」
そして、
「わたしのために考え、悩んでくれた人が、
そんなにいることがうれしい。」と答えられたらしい。
運営者の誠意が通じ、
それへのお礼の気持ちを表現するための言葉だったのかもしれないが、
「世のなかにいるのですよ、
誰にも、関心を持ってもらえない孤独な人が。」とのゲストのことばに、
全員が深くうなづいた。
少しでも、孤独に寄り添い、ひとりじゃない、と思ってもらうことが、
福祉の始まりなのだろうか。




