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おっちゃんの「日々こもごも」

2011年12月31日

帰る人、帰られない人。

ことし10月、
取材で訪ねた先で、素敵な家に出会った。
秋の日差しに、ゆったりと寝そべっているような平屋の家。
あまり暇だから、庭の花の手入れをしようか、というような、
おおらかな花壇。
うたた寝しているように、揺れる花の遠くには、
草に覆われた土手が見える。

土地の人に聞くと、そこは鉄道の線路。
もう、電車が止まって7カ月が過ぎる。
3月11日までは、
そのまま北に進むと、すぐ、常磐線の南相馬の駅。
1時間に二本程度の電車が通り過ぎて、
その音も、雑木林を抜ける風程度の、癒しの「騒音」だったのだろう。

この家も、大みそかだ。
都会に出たこどもたちは、孫を連れて帰っているのだろうか。
紅白歌合戦が始まるのを待っているのだろうか。
いや、違うだろう。
しばらくは、帰ってこなくていいよ、と老夫婦は言っただろう。
春になったら、孫の顔を見に来てよ、と息子は答えただろう。
それとも、家族そろって、ハワイにでも出かけただろうか。

暖炉にロッキングチェアが似合いそうな正月は、
あの家に、いつ戻ってくるのだろう。