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おっちゃんの「感想・鑑賞録」

2008年11月19日

『できそこないの男たち』福岡伸一

筆者:おっちゃん男は、駅伝の「バトン」にすぎない。

生命の基本仕様、それは、女性。
受精後約7週目に、
「不謹慎ながら、太ももの間をのぞき見ることができたとしたら。
染色体がXXであろうがXYであろうと、そこに同じものが見える。
割れ目。これを見た人はおそらくおしなべて皆がこう思うだろう。
ああ、この子は女の子だと。」


もし、この子が男なら、
Y染色体の中のSRY遺伝子が活動を開始する。
この遺伝子が、後に卵管、子宮、膣になる組織を壊し、
膣として開口する部分の割れ目を閉じあわせ、
精巣、輸精管、精嚢作りに着手する。

女性の仕様を、急場しのぎで、不細工に作り直したのが、男性。
だから、
「尿の通り道が、精液の通り道を借用することになった。」
だが、
「女性は何も無理なことはしていない。」
女性の強さの源泉は、ここにある。

地球が誕生して、46億年
最初の生命が誕生して、36億年、
生物の性は単一、すべてメスだったのだ。

小さなわずか数ミリほどの虫、アリマキ。
その哀れなオスを見よ。

茎に口吻を突き刺し、蜜を吸うアリマキは、メスしかいない。
そのおなかの中には、
交尾も受精も必要とせず、すでに娘を宿している。
その娘には、すでに子どもの萌芽の兆しが...。
「ロシアのストリョーシカのような『入れ子』になっている」

そのメスしかいない世界に、
秋風が吹くころ、オスが誕生する。
「アリマキはメスの仕様から、一段階あえて減らすことを行った。
2本あるX染色体をひとつ捨てることにした。」
XX型が、Xだけになる。当然、遺伝子の情報量も半減する。
「その結果、できそこないのメスとしてオスが産み出される。」

豊満な身体のメスに比して、「できそこないのメス」は、
「干からびたような、がりがりにやせた身体をしており、手脚も華奢だ。
それをばたつかせながら落ち着きなくあちこちを走り回る。」
ただひたすら、与えられた使命、「メスと交尾すること」のために。
「休みなくメスの間を渡り歩いて、
命が尽きるまでその勤めを果たさなければならない。」
勤めを終えた後、オスは、春を見ることなく死に絶える。

「メスは太くて縦糸であり、
オスは、そのメスの系譜を時々橋渡しする
細い横糸の役割を果たしているにすぎない。」

では、なぜ、メスは「横糸」を必要としたのか。
なぜ、オスはその役割に耐えられるのか。
その奴隷のごとき「横糸」が、なぜ、男性社会を築くに至ったのか。

生命のミステリーを辿る旅を終えて、
最後に、著者の深く卓越した人間観が出迎えてくれる。