『生命をつなぐ 進化のふしぎ』内田亮子
老化とは、とてもぜいたくな悩みのようだ。
この本によると、
世界の平均寿命は約67.2歳
(国際連合のデータ:男性65.0歳、女性69.5歳)らしい。
短命なザンビアで39.4歳で、
長寿国といわれる日本で82.6歳。
そもそも、動物なら、生殖機能の終わりが、
生命の終わりらしい。
「野生動物の死は、捕食、病気、気候などの外的な要因によるものが主であり、
ほとんどが『年をとる』まで生きてはいない。」
外的要因から無事に生き延びられても、
生殖能力の停止とともに、死を迎えるのが、動物の倣いだという。
「飼育下のチンパンジーとゴリラの雌で閉経の事例は報告されているが、
野生のチンパンジーの雌では繁殖能力が
完全に停止する前に死亡するのが一般的である。」
しかし、人間は、
「繁殖機能と身体全体の老化の進行を切り離して寿命を延ばした。」
現代になって、日本人の寿命が延びたように言われているが、
「いにしえの人々も70代での死が一般的だった可能性が高いのだ。」という。
寺に残された骨を分析して年齢を推定し、
鎌倉時代と江戸時代、ふたつの集団で寿命を比較すると、
「2つの集団で死亡年齢のパターンはほぼ一致した。
15歳の個体のうち65歳以上が30~40で他の年齢群
(15~24歳、25~34歳、35~44歳、45~54歳、
55~64歳、それぞれ約10%)よりも明らかに多い。」
また、最近、脳科学の研究が進み、
歳とともに「賢く」なる理由が分かってきた。
「その秘密は感情と社会的なスキルおよびこれらと記憶能力の関係にあるようだ。」
前頭前野がつかさどる認知の処理能力は明らかに低下する。
しかし、感情のコントロールは加齢とともに低下しないという。
「高齢者(60~70歳)が意識や記憶にかかわる課題で
プラス志向の情報処理をしていることが示されている。
たとえば、ヘスらの実験で、
高齢の被験者は2つの偽新聞記事―加齢にともなう
記憶低下の関係について悲観的なものと、
一生を通じて記憶能力が保たれるという楽観的なものを読んだ場合、
後者の記事を読んだグループの方が20~30%も多くの語彙を覚えていた。」
人間は、よくできてる。
生殖と死を切り離し、長寿を達成し、
生殖とセックスと分け、長寿の楽しみを引き延ばした。
さらに、自分に都合よく解釈する心をはぐくんで、
若さを保とうとしている。
おっちゃんも、「感情のコントロール」は自信ないけれど、
「身勝手に解釈する心」は十分はぐくんでいる。
まさに、「おっちゃん道」を正しく生きているようで、
うれしくもあり、少しさびしい。





