『銀齢の果て』筒井 康隆
老人浄化大作戦。そうでもせんと。
2001年、野坂昭如さんが、高齢化社会のなれの果てを、
「エレクションテスト」(ET法)で喝破されたら、
2005年、筒井康隆さんは、「シルバーバトル法」を制定された。
70歳以上の男女の別なく、殺し合いをすることで、
老人問題から日本を救う。
憂国の情の深さ、
妄想の豊かさから素晴らしい小説が出来上がりました。
シルバーバトル法、正式には、老人相互処刑制度と言う。
全国で地区を選びながら、順次、地区ごとに進めていく。
選ばれた地区では、男女含めてたった一人しか、生き残れない。
男女の別もない。
家族の助勢も許さない。
夫婦二人が残ったら、
ふたりとも、政府が征伐する。
だから、夫婦といえども、最後は殺し合い。
抱腹絶倒、魑魅魍魎、凄惨絶後なバトルが始まった。
宮脇町五丁目地区で、
シルバーバトル開始の朝が明けた。
主人公、老舗の和菓子司三代目、蔦屋のご隠居、
七十七歳の宇谷九一郎は、囲碁友達の正宗忠蔵を訪ねる。
気のやさしい友が、残虐な殺され方をされないために、
九一郎が、救いに乗り出した。
九一郎を静かに迎えた忠蔵は、
「煙草を、一服喫わせてくれるかい」とことわる。
喫い終えて、煙草を揉み消すためにうつむいた忠蔵の頭頂に、
九一郎は拳銃を打ち込んだ。
まるで、友の介錯をするような美しさ、
感動巨編の始まりにふさわしい。
元大学教授は、知恵で、
元自衛官は、ライフルで、
元鯨打ちは、銛で、
元動物園園丁は、象で、
それぞれ経験を生かし、生き残りを目指す。
宮脇町のシリアスなバトルをよそに、
大阪では、バトル対象者の親族が動いて、
『爺さん婆さんシルバー・バトル勝者決定戦』を企画。
一万二千人の入場料チケットはほとんど完売。
テレビの実況中継も、にぎにぎしく挙行された。
中島らもさんも、もっと長生きして、
野坂昭如さん、
筒井康隆さんに続いて、
この小説バトルに参戦してほしかったな。
わてら、笑って過ごす老後のために。





