「リサイクルショップKOBITO」 ハイバイ
わかったつもりにならない。わからないフリをしない。
動物園にようこそ。
「リサイクルショップKOBITO」は、おばちゃんたちの動物園。
いや、リサイクルショップなんですけどね、基本的には。
ここで働く、あるいはここにやってくるおばちゃんたちは、すごくフリーダム。
めいめい、勝手に好きなことをしている。
人の話を聞かない。誰も聞いてないのにどんどんしゃべる。大きな声で。
同時多発的にあちこちで起きる、独白や哄笑。
回収されることを目的としない言葉たちは、もはや言葉とは言えない。
ノイズを発するヘンな生き物。あるいは吠える動物。
見てる分には面白いけど、近づくのはちょっと怖い。基本的には気持ち悪い。
※あ、これはあくまで舞台の上の『おばちゃんたち』のことで、
一般論ではありません、念のため。
第一このおばちゃんたち、全員男が演じてるのだ。
「やっべー、なんかあいつらまとまりないし、理屈が通じないし、
接点ないし、一生わかりあえない気がするナー」
などと思っていてはいけない。
ためらうな、飛び込め!
そして彼女たちのざわめきの中から立ちあらわれてくるものに、
耳をすませるのだ!!
なーんて、演出家・品川幸子(登場人物です、念のため)に煽られた、
引きこもりの若い女。
「リサイクルショップKOBITO」に潜入、おばちゃんたちの観察を始める。
無数に吊るされた流行遅れの古着の陰から覗く女が見たものは、
おばちゃんたちの、過去。
九州から名古屋、名古屋から東京へと、
じわじわ進出してきた、あるおばちゃんの半生。
九州では親から逃げ、名古屋では伊勢湾台風に追われ、
銀座を目指した若い夢は、微妙に手前の小金井にたどり着き、
しかしそこでしっかりと根を下ろす。
あるいは、別のおばちゃんは、バブルの浮き沈みに翻弄されるうち、
いつしか夫と心が通じ合わなくなってしまった。
娘は大きな生活環境の変化についていけず、
心を病み、独り言をつぶやくようになってしまう。
(ちなみにこの娘が、リサイクルショップに潜入する引きこもりの女でもある)
ものすごーく端折ってしまえば、
「人に歴史あり」っていうことなのだと思うのですが、
同時にこの芝居は、他者理解のプロセスを描いたものでもある。
誰にでも「他者」っているでしょう?
それがおばちゃんかどうかはおいといて。
ていうか、自分以外はみんな他者か。まあいいや。
言葉が通じないのです、他者とは。だから理解しあえないのです。
だから、おばちゃんとの、つまり他者との「共通の言葉」を探す必要がある。
それはたいがい、見えないところに埋まっている。
たとえば、その人が過ごしてきた時間の中、とかに。
だから潜っていって、掘り出さなきゃいけない。そういうことです。
「あ、おばちゃんね」とわかったつもりになる。
あるいは「いや、おばちゃんだから」とわからないフリをする。
どっちもダメなんだけど、どっちかになっちゃってることって、多い。
ハイバイは、カラダを張って、「そこんところ」を伝えてくれる。
-------------
東京公演は終了。
6月25日(木)から、大阪・精華小劇場で公演。
http://hi-bye.net/02kouen.html
紹介演劇データ
- タイトル:「リサイクルショップKOBITO」
- 劇団名:ハイバイ
- 作・演出:岩井秀人
- 公演日:2009年6月
- 劇場:こまばアゴラ劇場(駒場東大前)





